連合長野ふれ愛資金様から、今年も当協会の外国籍児童就学支援事業サンタ・プロジェクトに対して多額のご寄付をいただきました。
連合長野「ふれ愛資金」は、人道主義の立場から「自由、平等、公正で平和な世界の実現」に向けた社会貢献活動として取り組むもので、サンタ・プロジェクトの前身となる「外国籍児童就学援助委員会」当初からご支援をいただいております。
今年度も10月に寄付金のお話をいただきましたが、国政選挙などの都合により日程調整が整わず、11月19日協会事務所にて根橋美津人会長からマキナリー浩子理事長への贈呈となったものです。
平成14年度当初の「外国籍児童就学援助委員会」から平成17年度には「外国籍児童支援会議」に、平成25年度には公益財団法人への移行と共に「外国籍児童生徒等学習支援事業」へと引き継がれ、平成27年度に現在の日本語学習コーディネー ターが置かれ今年度で 10 年を数えます。
事業開始当初は 、外国籍児童生徒の不就学の実態が明らかになり、子どもの日本語教育が急務とされましたが、近年ではコーディネーターが対応する課題も多様化してきました。
例えば 、滞日歴の長い外国籍家庭に生まれ育った子どもは、学校と家庭と異なる2つの言語文化の中で育っていきます 。
多様な背景を持つ子どもが増えるにつけて 、言語力、思考力を育むための適切な指導のあり方について 、教職員や支援員の方々と共に考えながら一人ひとりの最適解を探り当てる困難を痛感します。
先生方は、子どもの日本語指導について知識を補う情報や研修の機会、ネットワークが不足している等の課題もある中 で 、日々努力されています。
更には、市町村によっても外国籍児童生徒の受入体制が異なり、居所によって受けられる支援が異なるという状況は 、解決を急ぐべき人権上の課題と考えます。
これまでの幾多の困難の中で今に導いてくださった先人に感謝し、行政、教育委員会、学校、 民間の相互が力を合わせ、なお一層の外国人児童生徒の就学支援に資することを願ってやみません。
(1)外国籍児童生徒等の日本語教育の充実、多文化共生教育などについて提言
10 月15 日(火)13 時から長野県教育委員会教育長室で、直江崇県民文化部長と武田育夫教育長へ
提言書を手渡しました。
これは、現在長野県が少子化・人口減少対策戦略案の策定に取組む中で、「外国人県民が暮らしや
すく働きやすい環境をつくること」を柱の一つに掲げていることから、一層の日本語教育の充実、
外国人児童生徒の学習支援、多文化共生教育の推進などの多文化共生施策について、重点的に取組
まれるよう、長野県及び長野県教育委員会へ提言を行ったものです。
マキナリー理事長から、ANPI 学習支援コーディネーターによる就学支援の実情と現場の混乱など
を伝え、子どもたちが長野県で進学・就職し活躍できる社会に向けて、①情報・課題共有に向けた
「場づくり」、②長野県教育委員会としての基本指針の策定、③多文化共生教育の推進について提言
を行いました。
一方、神吉座長(長野県地域日本語教育の体制づくり事業総合調整会議座長)からは、①地域日本
語教育の積極的な事業展開、②文部科学省の補助金活用による外国籍児童生徒等への支援の充実、
③日本語教育専門家の処遇改善などについて提言を行いました。
(2)進学ガイダンスinながの2024 後半8/25箕輪会場、9/8飯田会場で開催
高校入試の仕組みや学校生活、費用など、高校へ進学するために知っておきたいことを説明する
進学ガイダンスin ながの2024、今年度は県下4会場で開催することができました。
多くの関係者の皆さんにご協力いただき、ありがとうございました。
ガイダンス資料は各教育委員会、学校へデータ送付してありますが、必要な場合は事務局へ問合せ
をお願いします。
(3)令和6年度災害多言語支援センター設置運営訓練と防災講座を開催
10月20日(日)小諸市において、長野県総合防災訓練の一環で災害多言語支援センター設置
運営訓練と外国人県民向けの防災講座を開催しました。
1.災害多言語支援センター設置運営訓練
「災害多言語支援センター」は、大地震・大雨などの災害が発生した際に、日本語が判らず行政
機関等が発信する情報を享受できない、そもそも地震等の災害経験が少ないなどで不安を抱えている
外国人住民を支援するために、多言語で災害に係る情報を提供し支援する仕組みで、1995年に発生
した阪神・淡路大震災が始まりと言われています。
長野県、小諸市、県及び小諸市社協、次期開催予定の岡谷市、ANPI 登録の通訳翻訳ボランティア
が参加し、導入の講義を受けてから現地総務班、現地及び遠隔地の情報班(現地)を想定し、掲示
や配信する情報の整理と多言語化に取組みました。
2.外国人県民のための防災講座
防災講座では災害時の行動や避難所での過ごし方、AR ゴーグルを使った災害状況の疑似体験を通じ
て、大水の危険や地震を知らない国の方も多く、wi-fi が使えない環境に対する不安など感想や意見
が寄せられました。
(4)「森林セラピー体験会」に参加しました
10/14(日)信濃町、しなの町Woods-Life Community さんのご厚意によりANPI の通訳翻訳ボランティア
の皆さんを対象に、「森林セラピー体験会」を開催いただき快晴の休日を過ごしました。
信濃町では、C.W. ニコル氏の提案により「癒しの森」を中心としたまちづくりに取組み20 数年、個人
のお客様から企業・学校、インバウンド需要など多面的に取組まれている中で、事業に興味のある
通訳者の方に森林メディカルトレーナーとしてご活躍いただきたいとの思いで、今回の体験会となり
ました。
20241101 ANPINEWS2024秋号
令和6年10月20(日)9:00~12:40まで小諸市役所にて長野県、中野市、(公財)長野県国際化協会の主催による「災害多言語支援センター設置運営訓練・外国人向け防災講座」を開催しました。
1.災害多言語支援センター設置運営訓練
・「災害多言語支援センター」とは、大地震・大雨などの災害が発生した際に、日本語が判らず行政機関等が発信する情報を享受できない、そもそも地震等の災害経験が少ないなどで不安を抱えている外国人住民を支援するために多言語で災害に係る情報を提供し支援する仕組みで、1995年に発生した阪神・淡路大震災が始まりと言われています。
①まず始めに、NPO法人多文化共生マネージャー全国協議会 代表理事の土井佳彦さんから「災害多言語支援センターの基本的な機能と役割」と題して講義いただき、小諸市在住の外国人市民の国籍からタイ、ブラジル、ベトナムの上位3位で50%を占めている状況から対応すべき言語や、災害時に外国籍の方が直面する困難(国によってはそもそも地震を知らない、避難所を知らない、日本語が分からない、情報が得られないなど、言葉や文化、習慣、宗教上などの配慮が必要な要配慮者)について、東日本大震災や熊本地震など過去の災害事例を元に説明いただきました。
②その後、以下の3班に分かれて訓練を行いました。
・総務班:災害情報の確認、被災者の確認把握、避難所巡回のルート検討、巡回班の編成
・現地設置の情報班A:災害情報の優先順位付け、やさしい日本語に翻訳、避難所へ掲示・配賦情報の多言語翻訳(スペイン語、タガログ語)
・遠隔設置の情報班B:災害情報の優先順位付け、やさしい日本語に翻訳、避難所へ掲示・配賦情報の多言語翻訳(ベトナム語、タイ語、タガログ語、インドネシア語)
③外国人住民が避難している避難所の巡回訓練
・避難所巡回のルート確認、班編成、聞取り用個人カルテ、配慮のポイントなどのレクチャーの後、別会場で受講の外国人向け防災講座参加者を避難者と想定して聞取りを行いました。
・被災者情報の確認では、通訳者が居る場合といない場合の翻訳機やアプリを使うケースの2パターンを体験、コミュニケーションを図りながら「個人カルテ」に困り事を把握し、情報共有する仕組み作りを学びました。
2.外国県民のための防災講座
・NPO法人多文化共生マネージャー全国協議会事務局の村上典子さんを講師にお迎えし、地震、大雨、大雪などの災害時の行動や、避難所への誘導、避難所での過ごし方、ハザードマップの確認などについて「やさしい日本語」で説明いただき、小諸市及び近隣にお住いの皆さん(ミャンマー、フィリピン、中国、タイ、日本)18名が受講されました。
・また今回は、初めての試みでARゴーグルを使ったバーチャル体験も行い、浸水や飛来物などの疑似体験もいただきました。
10月15日(火)13時から長野県教育委員会教育長室で、直江崇県民文化部長と武田育夫教育長へ神吉宇一 座長(地域日本語教育の体制づくり事業総合調整会議)とマキナリー浩子 (公財)長野県国際化協会理事長から提言書を手渡しました。
これは、現在長野県が少子化・人口減少対策戦略案の策定に取組んでおり、この中に「外国人県民が暮らしやすく働きやすい環境をつくること」を柱の一つに掲げている中で、なお一層の日本語教育の充実、外国人児童生徒の学習支援、多文化共生教育の推進などの多文化共生施策について、重点的に取組まれるよう提言を申し上げたものです。
神吉座長からは、外国人の受入れが単なる就労から日本での生活や子どもを産み育てる態様への変化を背景に、長野県に住み共に地域社会を創る時代への変革を踏まえた日本語教育・多文化共生施策について、一方、マキナリー理事長からは、国際化協会の学習支援コーディネーターによる就学支援の実情と現場の混乱や、外国人児童生徒の受入れに対する体制整備が整っていない状況などを踏まえ、情報・課題共有に向けた「場づくり」、長野県教育委員会としての指針策定、共に刺激を受けながら学び合う貴重な機会となる学習プログラムの構築に向けて、それぞれ提言を申し上げました。
地方公共団体、教育委員会、有識者などが連携し、共に築く「多文化共生社会」に向けて、戦略施策に反映されますようご祈念申し上げます。